最近は、自営業者として働きながら、副業を始める方が増えています。副業を行うと、新たな収入源やスキルなどが身に着けられる一方で、保険が切り替わって負担が増えてしまったり、確定申告が複雑になってしまったりする可能性があります。
そこで本記事では、自営業者が副業を始める際の注意点やメリット・デメリット、税務や保険への影響などについて解説します。
目次
自営業者も副業できる?
自営業者も副業はできるのでしょうか?たとえば、本業で従業員を雇いながら、副業で誰かに雇われることは可能でしょうか?答えは「Yes」です。基本的に、自営業者であっても、副業を始めることができます。
自営業者が副業をすれば、本業とは別の分野で新たな収入源を作ったり、新たなスキルを身に着けたりすることができます。ただし、法律で副業が禁止されているような場合は副業ができないため、その点には注意しなければなりません。
自営業者の副業が及ぼす影響について
自営業者が副業をすると、税務や保険などにさまざまな影響が出ます。その中でも、特に影響が大きいのが、以下の3つです。
- 年末調整
- 確定申告
- 社会保険
年末調整
自営業者が法人役員の場合、本業の役員報酬では年末調整を行いますが、副業のアルバイト収入などでは年末調整を行いません。
これに対し、自営業者が個人事業主の場合、本業で自分の年末調整を行うことはありませんが、副業の収入に関しては、アルバイト先などに必要な資料を提出し、年末調整を行わなければなりません。
確定申告
自営業者が法人役員の場合、本業の給与所得と副業の給与所得を合算し、確定申告をしなければなりません。この場合、副業の収入は年末調整されていないため、多くの場合、税金の還付が行われることになります。
これに対し、自営業者が個人事業主の場合は、本業の事業所得と副業の給与所得を合算して確定申告をしなければなりません。副業の分だけ所得が増えるため、一般的には、多くの税金を納めることになります。
社会保険
自営業者が法人役員の場合は、本業の給料と副業の給料を合算して標準月額報酬を算定し、それを基に社会保険料が計算されます。したがって、副業で収入が増えた分だけ、社会保険料も増えることになります。
これに対し個人事業主の場合、パートやアルバイト先で社会保険に加入することになれば、国民健康保険から社会保険へ切り替えを行わなければなりません。なお、社会保険の切り替え手続きは勤務先が行いますが、国民健康保険・国民年金の脱退手続きに関しては、本人が行わなければなりません。
自営業者が副業するメリット・デメリット
自営業者が副業すると、様々なメリットが得られる一方、いくつかのデメリットも生じます。
自営業者が副業をするメリット
自営業者が副業をするメリットは、主に3つあります。まず、「収入源の多様化」です。自営業の収入は景気や顧客の動向に左右されやすいため、副業を行えば、収入を安定させることができます。特に、閑散期に副業があれば、収入の減少を補うことが望めます。
次に、「新たなスキルの習得」です。副業を通じて、これまで経験したことのない分野に挑戦できるため、新しいスキルが身につけられます。このスキルは、副業だけでなく、本業にも応用できるケースも少なくありません。たとえば、Webデザインやプログラミングのスキルを学び、それを自分のビジネスに活用することも可能です。
最後に、「人脈の拡大」です。副業を行うと、これまで接点のなかった業界や人々とつながる機会が増えます。こうして築いた新しい人脈は、新たなビジネスチャンスや協力関係を生むきっかけになることもあります。
自営業者が副業をするデメリット
自営業者が副業をする際のデメリットは、主に3つあります。まず、「労働時間の増加」です。本業と副業を両立させるためには、労働時間が増えることが避けられません。特にスケジュール管理が難しい場合、本業に支障をきたす可能性もあります。
次に、「税務処理の負担増」です。副業で得た収入は、本業の収入と合算して確定申告を行わなければなりません。したがって、記帳や申告などの手間が増え、場合によっては専門家に依頼するコストも発生します。また、税額の増加により、収入が増えても手取りが減る場合もあるので、こうした点には注意しなければなりません。
最後に、「保険料の増加」です。副業収入が増えると、保険が切り替わったり、社会保険や国民健康保険の保険料が見直されたりすることがあります。これにより、予想以上の支出が発生し、収益計画に影響を与えることもあります。
自営業者におすすめの副業6選
自営業者が始めやすい副業には、さまざまな種類があります。ここでは、自身のスキルを活かせる副業、在宅でできる副業、短期集中型の副業という3つのカテゴリーに分けて、それぞれ2つずつ具体的な例をご紹介します。
スキルを活かせる副業
スキルを活かせる副業としてお勧めなのが、以下の2つです。
- コンサルティング業務・・・自営業で培った専門知識や経験を生かし、他の事業者を支援する形の副業です。特に、経営やマーケティング、財務などの分野で需要があります。
- Webデザインやプログラミング・・・技術スキルを持っている場合、Webサイト制作やシステム開発といった副業で安定した収益を得られます。
自分の専門知識や技術を活かせる副業は、収入を得るだけでなく、さらなるスキルアップにもつながります。自営業の経験が強みとなりやすいため、本業の延長線上で効率よく収入を増やすのに最適です。
在宅でできる副業
在宅でできる副業としてお勧めなのが、以下の2つです。
- アフィリエイトやブログ運営・・・自由な時間に取り組めるため、自営業との両立がしやすい副業です。広告収入や商品紹介で収益を上げることが可能です。
- オンライン販売・・・ハンドメイド商品や中古品を販売するビジネス。ECサイトやフリマアプリを活用して在庫管理を最小限に抑えることができます。
時間や場所に縛られずに取り組める在宅副業は、自営業と両立しやすい選択肢です。特に、時間の融通が利く点は、多くの自営業者にとって魅力的と言えるでしょう。
短期集中型の副業
短期集中型の副業としてお勧めなのが、以下の2つです。
- 季節的な業務委託・・・短期のプロジェクトやイベント関連の仕事は、一定期間だけ集中して取り組めるため、本業に影響を与えにくい副業と言えます。
- 配達やドライバー業務・・・フレキシブルな働き方ができるため、空き時間を有効活用する副業として人気があります。特にデリバリーサービスは需要が高まっています。
限られた期間で効率よく収益を上げられる短期集中型の副業は、繁忙期や閑散期に応じて柔軟に働けるのが魅力です。空き時間を効率よく活用する方法としておすすめです。
副業を成功させるポイント
副業を始める際には、本業とのバランスを保ちつつ、効率的に進めることが重要です。ここでは、副業を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
計画的な時間管理
本業と副業の両立には、時間の管理が欠かせません。副業に費やす時間を事前にスケジュール化し、本業の業務やプライベートな時間を圧迫しないよう工夫しましょう。特に、繁忙期や納期が重なる時期には無理のない計画を立てることが重要です。効率よく時間を使うことで、副業と本業の両方を充実させることができるでしょう。
税務・保険対応の準備
副業を始めると、確定申告や保険料の見直しが必要になる場合があります。また、副業の収入が増えると、税務処理が複雑になったり、社会保険料や国民健康保険料が増えたりすることもあります。こうした事態に対応するためには、事前に副業収入や書類などの管理を徹底し、十分な準備をしておくことが大切です。税務や保険対応を適切に行えば、副業をスムーズに進められるでしょう。
専門家への相談を活用
税務や保険に関する知識が十分でない場合は、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。適切なアドバイスが受けられるため、余計な手間を省き、ご自身に最適な選択ができます。
また、副業の種類や規模に応じて、節税などの提案してもらうことも可能です。副業が心配な方は、専門家を上手に活用しながら安心して進めていきましょう。
まとめ
副業は、自営業者にとって収入の多様化やスキルアップ、新しいビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めている一方で、税務処理や社会保険料の増加といった課題も伴います。そのため、副業を始める際には、事前の計画と準備が不可欠です。
その際、税務や保険などに不安がある方は、専門家に相談し、アドバイスを求めると良いでしょう。そうすれば、最善の選択ができるはずです。