日本一わかりやすく「黒字倒産」を説明します

「黒字なのに倒産した会社がある」と聞くと、不思議に思う方も多いのではないでしょうか。実は帳簿上の利益と、実際に使えるお金とは、必ずしも一致しません。資金の流れをきちんと把握しておかないと、事業が順調に見えても突然立ち行かなくなるおそれがあります。そこでこの記事では、黒字倒産のしくみや原因、そして防ぐための対策について、できるだけわかりやすく紹介します。

黒字倒産をわかりやすく解説

黒字倒産とは、帳簿上では利益が出ているのに、実際には手元のお金が足りず、会社が立ち行かなくなってしまう状態のことをいいます。見た目には順調に見える経営でも、支払日に資金が用意できなければ取引先への支払いが滞り、結果的に倒産してしまう可能性があるのです。

たとえば、売上が発生していても入金までに時間がかかる場合、その間に家賃や給与、仕入れ代金などの支払いが重なると、資金繰りが一気に苦しくなります。特に売掛金の回収サイトが長い業種や、初回取引が多い創業初期の企業にとっては、入金までのズレが致命的になりかねません。

また、損益計算書上は黒字でも、現金の動きを確認するキャッシュフローの管理が不十分であれば、目に見えないところで資金が足りなくなっていることに気づかないまま事業を進めてしまうおそれがあります。たとえば、先に仕入れを行って後から販売するビジネスモデルでは、現金の流れと利益のタイミングが大きくずれることも珍しくありません。

資金ショート

こうしたタイムラグを理解しないまま拡大路線に走ってしまうと、資金ショートを招くリスクが高まります。特に中小企業や起業直後の事業者は、会計の仕組みに不慣れなこともあり、「利益が出ていれば安心」という思い込みに陥りやすい傾向があります。

しかし、実際の経営では「現金があるかどうか」がもっとも重要です。したがって、資金の動きに意識を向け、常に現金残高と今後の支払い予定を見渡しておかなければなりません。

なんてこった!黒字倒産が起こる3つの原因

黒字倒産は、帳簿上の数字だけでは見えない落とし穴から起こります。ここでは、実際の現場でよく見られる黒字倒産の3つの原因を取り上げ、それぞれの特徴と背景をわかりやすく説明します。

1. 売上はあるのに入金が遅い

帳簿上では売上が立っていても、実際の入金が遅れれば、支払いや人件費に充てる資金が足りなくなってしまいます。たとえば、取引先との契約で「末締めの翌々月末払い」「90日サイト」といった長期の入金条件が設定されている場合、その間にも家賃や仕入れ、人件費などの支払いが発生します。

したがって、こうした状況では、売上は増えているにもかかわらず、現金は減るいっぽうです。特に、急速に受注が増えた場合には、その売上に見合った仕入れや外注費も増えるため、手元資金が先に尽きてしまいかねません。

これを防ぐためには、売掛金の入金スケジュールを管理することが重要です。また、必要に応じて請求書の早期発行や取引条件の見直し、ファクタリング(売掛債権の早期現金化)などの資金調達手段を検討することも有効です。

2. 固定費が高すぎて資金が回らない

固定費とは、売上の有無にかかわらず毎月発生する経費のことです。たとえば、事務所の家賃やスタッフの給与、リース代、光熱費などが含まれます。これらが売上に対して過剰であると、利益が出ていても手元に残る現金が思ったほどには増えません。

したがって、実際の売上に見合わないまま続いていると、やがて支払いに行き詰まってしまいます。そのため、売上が安定するまでの間は固定費を極力抑える運営を心がけ、必要以上の設備投資や雇用は避けることが重要です。状況に応じて、フリーランスの活用やサテライトオフィスの検討など、多角的な支出管理を検討すると良いでしょう。

3. 売掛金の未回収が続いている

売上を計上したにもかかわらず、取引先からの入金が滞ったり、回収不能になったりすると、資金繰りに深刻な影響を及ぼします。売掛金は、企業にとって「将来入ってくる予定の現金」ですが、確実に入ってくる保証があるわけではありません。

特に新規の取引先や経営状態が不安定な企業との契約では、事前の与信管理が不十分なまま取引を開始してしまうと、結果的に回収不能になり、大きな損失を被ることになります。さらに、複数の取引先で未回収が重なると、帳簿上は黒字なのに資金が回らないという状態に陥ります。

こうしたリスクを避けるためには、定期的な売掛金の管理と、取引先ごとの信用状況の見直しが重要です。また、支払い遅延が生じた場合の対応ルールを事前に定めておくことや、契約時に遅延損害金の規定を設けておくことも有効な対策となります。

絶対、黒字倒産しないための3つの対策

3つの対策

黒字倒産を防ぐためには、帳簿上の数字だけでなく、日々のお金の動きを意識した対応が欠かせません。ここでは、特に重要な3つの対策を取り上げて、実践的な方法をご紹介します。

1. キャッシュフローを可視化する

黒字倒産を防ぐための第一歩は、会社にどれだけのお金が入ってきて、どれだけ出ていくのかを「見える化」することです。たとえば、エクセルやクラウド会計ソフトなどを使って、毎月の収入と支出を一覧にまとめ、手元資金がいつどのくらい必要になるかを把握しておくと安心です。

特に注目すべきなのは、月末や月初に集中する支払いと、入金の時期がずれていないかという点です。キャッシュフローのズレに早く気づければ、融資や支払いの延期など、対処する時間を確保できます。また、過去のデータをもとに将来の資金計画を立てることで、無理のない経営判断がしやすくなります。「利益が出ているから大丈夫」ではなく、「今、現金があるか」に注目する意識が重要です。キャッシュフローを管理する習慣を持つことは、経営の安定にもつながります。

2. 入金と支払いのタイミングを調整する

取引先への請求と、仕入れや経費の支払いのタイミングをきちんと整えることも、資金繰りの改善に効果的です。たとえば、自社が仕入れ先に30日以内に支払い、取引先からの入金が60日後という状況では、30日間の資金ギャップが発生します。この差が積み重なると、手元資金を大きく圧迫します。

対策としては、取引先と支払いサイトや回収サイトの見直しについて協議することです。柔軟な取引条件に応じてくれるパートナーがいれば、資金繰りは大きく改善されます。また、ファクタリングなどの資金調達手段も活用すれば、資金不足を回避する選択肢が広がります。

その他、クレジットカード払いの活用や、月末支払いから月初支払いへの変更など、小さな調整の積み重ねも効果的です。資金の出入りを意識して整えることが、黒字倒産を防ぐ重要な工夫となります。

3. 税理士など専門家のサポートを受ける

資金繰りやキャッシュフローの管理は、慣れないうちは見落としがちなポイントがたくさんあります。「利益は出ているのに資金が足りない」といった不安を感じたら、税理士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。

税理士は、会計帳簿から会社のお金の動きを的確に把握し、資金繰りに関するアドバイスをしてくれる存在です。事業計画に基づく資金繰り表の作成や、税務上の注意点の整理など、第三者の視点から冷静に助言してくれるので、見落としていたリスクにも気づけます。

また、融資申請や助成金の活用に関しても、専門家の知識が大きな支えになります。経営者一人で抱え込まず、必要に応じて外部の力を借りることが、会社の将来を守るための賢い選択と言えるでしょう。

まとめ

黒字倒産は、「売上があるから安心」と思っている企業にも起こり得る、非常に深刻なリスクです。帳簿の数字と現金の動きは異なるため、特に起業初期の段階では、資金の流れを常に意識しておかなければなりません。ただし、資金繰りに不安がある場合は、できるだけ早く税理士などの専門家に相談することをお勧めします。そうすれば、堅実かつ早期に対処できる体制を整えることができるでしょう。

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