起業を成功に導くためには、直感や思いつきだけでは不十分です。しっかりとした戦略を立てなければ、ビジネスの成功率を高めることはできません。この戦略立案に役立つのが、「3C」「4P」「SWOT」などの分析方法です。この３つは、事業を始める前に知っておくと大変便利な「道しるべ」のようなものです。本記事では、それぞれの分析方法について、初めての方でも簡単に分かるように解説します。
目次
マーケティングの3Cとは？
はじめに、3C分析について解説します。
3C分析の概要
3C分析とは、「Customer（顧客）」「Company（自社）」「Competitor（競合）」の3つの視点からビジネス環境を分析する方法のことです。このフレームワークを上手に使えるようになると、自分の事業がどのような顧客に向いているのか、どのような強みがあるのか、競合他社とどう違うのか、などが整理できます。起業時には、「顧客が求めているものは何か？」や「自分のビジネスはどこで勝てるのか？」といったポイントを見つけるにあたり、この3C分析は非常に役立ちます。
例えば、カフェを開業する場合、どのような顧客がターゲットなのか（Customer）、自分のお店の特徴や強みは何か（Company）、周りの競合店と比べてどう差別化できるか（Competitor）を整理することで、より効果的な戦略を考えることができます。
3Cの要素
3C分析では、３つの要素に対して、以下のように分析を進めて行きます。
- Customer（顧客）・・・誰があなたの顧客になるのか？ どのような悩みやニーズがあるのか？ 例えば、子育て中の親、忙しいビジネスマン、健康志向の人など、具体的に考えてみましょう。
- Company（自社）・・・あなたのビジネスの強みは何でしょうか？ 高品質な商品、特別なサービス、地域密着型など、自分が得意とするポイントを見つけましょう。
- Competitor（競合）・・・同じような商品やサービスを提供しているお店や会社は？ 競合他社が強みとしている部分や、逆に足りない部分を分析して、差別化するポイントを考えましょう。
3C分析のメリットと活用シーン
3C分析の良いところは、自分のビジネスの立ち位置をはっきりさせることができる点です。起業前にこの分析をしておけば、「誰に、どんな価値を届けるのか」が明確になります。3C分析が使えるようになると、新しい商品を売り出すときや、新しいお店を開くときなどに非常に効果的です。また、すでに始めたビジネスの課題を見つけたり、改善策を考えたりするときにも使えます。
マーケティングの4Pとは？
4P分析とは、商品、価格、販売場所、宣伝方法の4つの視点からビジネス戦略を考える方法です。
4P分析の概要
4P分析とは、「Product（商品）」「Price（価格）」「Place（販売場所）」「Promotion（宣伝方法）」の4つの要素を使って、ビジネスの戦略を考える方法のことです。商品をどう作るか、いくらで売るか、どこで売るか、どうやって宣伝するかを整理することで、顧客に選ばれるための仕組みが作れます。
例えば、ハンドメイドアクセサリーを販売する場合、どんなデザインの商品を作るか（Product）、どのくらいの価格で売るか（Price）、オンラインか実店舗か（Place）、SNSやチラシでどう宣伝するか（Promotion）などを考えることで、効果的な販売戦略を立てることができます。
4Pの4要素
4P分析では、4つの要素に対し、以下のプロセスで分析を進めて行きます。
- Product（商品）・・・どのような商品やサービスを提供するのか？ どのような特徴があるのか？ 例えば、「オーガニック素材を使ったお菓子」や「簡単に使えるアプリ」など、商品の強みを考えます。
- Price（価格）・・・どのくらいの値段で売るのか？ 高価格で高品質をアピールするのか、手頃な価格で多くの人に売るのかなど、価格設定を考えます。
- Place（販売場所）・・・商品やサービスをどこで売るのか？ オンラインショップ、実店舗、イベントなど、ターゲットに合わせた販売場所を考えます。
- Promotion（宣伝方法）・・・顧客にどうやって知ってもらうか？ SNS広告、チラシ、口コミなど、どのような方法で魅力を伝えるかを考えます。
4P分析を効果的に活用するポイント
4P分析を上手に活用するためには、4つの要素がバランスよく組み合わさっていることが大切です。例えば、高級な商品なら、それにふさわしい価格設定や上質な宣伝が必要です。また、市場の変化に合わせて柔軟に見直すことも重要です。たとえば、オンライン販売の需要が高まっている場合は、販売場所（Place）を見直してオンラインショップに力を入れるなど、常に状況に合わせて調整しましょう。
SWOT分析とは？
SWOT分析は、自分のビジネスの強み、弱み、チャンス、リスクを整理する方法です。
SWOT分析の概要
SWOT分析は、「Strengths（強み）」「Weaknesses（弱み）」「Opportunities（チャンス）」「Threats（リスク）」の4つの視点から、自分のビジネスの状況を整理する方法のことです。
この分析をすれば、「何が得意なのか（強み）」「どんな課題があるのか（弱み）」「どんな成長のチャンスがあるのか（チャンス）」「どんな危険があるのか（リスク）」を客観的に捉えることができます。SWOT分析を活用すれば、ビジネスの成功に向けた具体的な対策を立てやすくなります。
SWOTの4つの要素
SWOT分析では、4つの要素に対し、以下のプロセスで分析を進めて行きます。
- Strengths（強み）・・・他の競合より優れている点。例えば、「独自のレシピで作った人気のパン」など、自信を持てる部分です。
- Weaknesses（弱み）・・・改善が必要な課題。例えば、「経験不足」や「広告の知識が足りない」など、克服したいポイントです。
- Opportunities（チャンス）・・・ビジネスが成長するきっかけ。例えば、「健康志向の高まりでオーガニック商品への需要が増えている」といった市場の動きです。
- Threats（リスク）・・・事業に悪影響を与える可能性のある要素。例えば、「新しい競合店の出現」や「原材料の価格上昇」などです。
SWOT分析で注意すべきポイント
SWOT分析を行う際には、主観的な考えに偏らないように注意することが大切です。自分では強みと思っていることでも、顧客にとっては魅力的でない場合もあるからです。
また、分析した結果は、具体的な行動計画につなげることが重要です。例えば、「広告の知識が足りない（弱み）」なら、マーケティングの勉強をしたり、専門家に相談したりするなどの対策を考え、課題を克服するようにしなければなりません。
3C、4P、SWOT分析の活用方法
3C、4P、SWOTの３つの分析方法は、組み合わせて使うことで、より効果的な戦略が立てられます。
分析結果を活かす方法
分析結果は、まとめただけで終わらせるのではなく、実際のビジネスにどう活かすかが大切です。例えば、3C分析で顧客のニーズを把握し、SWOT分析で自分の強みと弱みを整理します。そのうえで4P分析を使えば、どのような商品をどの価格で、どこで売り、どうやって宣伝するかを具体的に考えることができます。
このように、状況に合わせて必要な分析方法を組み合わせることで、ビジネスの成功率を高めることができます。
分析フレームワークの組み合わせ方と順番
起業するにあたり、３つのフレームワークを以下の順番で行うと、自身を取り巻く状況を的確に整理し、何をすべきかが明確に分かるようになります。
- まず、3C分析を行い、自身が進出する予定の市場状況を理解し、顧客や競合の状況などを整理します。
- 3C分析の結果を踏まえたうえで、次にSWOT分析を行い、自分の強みや弱み、ビジネスのチャンスやリスクを整理し、現状を正確に把握します。
- SWOT分析で明確になった現状分析を踏まえ、最後に4P分析を行い、具体的に何を、いくらで、どこで、どうやって売るかを考え、実際の行動計画に落とし込みます。
こうしたステップを踏めば、ビジネスの成功に向けた明確な道筋を描くことができます。
まとめ
3C、4P、SWOTの３つの分析方法は、起業時に役立つ非常に便利なツールです。これらを活用することで、自分のビジネスの強みや課題、市場の状況をしっかりと把握し、成功するための具体的な戦略を立てることができます。
ただし、こうした分析を正確に行うためには、客観的な視点が必要です。こうした分析に自信のない方やもう少し詳しく知りたい方は、マーケティングに強い税理士やマーケティングコンサルタントなどの専門家に相談することをお勧めします。
