「起業する前にクレジットカードを作っておいた方が良い」という話を聞いたことがありますか?会社という後ろ盾がなくなると信用力が下がるため、その前に個人で使えるクレジットカードを作っておいた方が良いという話は、昔からあちこちでよく聞きます。
では、住宅ローンはどうでしょうか?クレジットカードよりもはるかに高額となる住宅ローンは、起業したら借りられなくなってしまうのでしょうか?あるいは、クレジットカードと同じように、起業前に借りておいた方が良いのでしょうか?
本記事では、起業すると住宅ローンが借りられないかどうかを整理したうえで、法人と個人事業主ではどちらが有利なのかを解説し、最後にフラット35と変動金利の審査についてもお話しします。
目次
起業すると住宅ローンは借りられない?
起業すると住宅ローンが借りられないか心配な会社経営者や個人事業主の方も多いと思いますが、結論から先に申し上げると、そんなことはありません。起業しても、住宅ローンは借りられますからご安心ください。
ただし、会社員と比べると、ある程度ハードルが高くなってしまうのは事実です。具体的には、以下の点で住宅ローンの審査のハードルが高くなります。
- 起業してすぐに借りるのは難しい
- 会社(事業)の業績が審査を左右する
起業してすぐに借りるのは難しい
会社員であれば、転職しても半年程度が経過していれば、住宅ローンが借りられる場合も珍しくありません。しかし、会社経営者や個人事業主として起業した場合は、起業後半年程度で住宅ローンを借りるのはかなり難しいでしょう。
会社員であれば、転職してもこれまでの信用力がある程度引き継がれるため、転職自体が信用力にダメージを与えることはそれ程ありません。しかし、起業すると会社員時代の信用力はいったんリセットされてしまうため、余程の頭金を用意していない限り、起業してすぐに住宅ローンを借りるのは難しいでしょう。
ですが、会社経営者や個人事業主として起業しても、おおむね3年程度の間順調に業績を積み上げて行けば、問題なく住宅ローンも借りられるようになります。ですから、それほど心配する必要はありません。
会社(事業)の業績が審査を左右する
会社員であれば、住宅ローンを借りるために自身の所得を証明する書類などを提出すれば審査が受けられます。つまり、勤めている会社の業績は、住宅ローンの審査とは基本的に関係がないわけです。
しかし、会社経営者や個人事業主の場合は違います。たとえば会社経営者の場合、役員報酬はそれなりの金額を貰っていても、会社自体が赤字であることがあります。会社員であれば会社の業績は審査に影響しませんが、会社経営者の場合は会社の業績と自身の役員報酬は基本的に連動しているため、会社の業績も住宅ローンの審査に大きく影響します。
これは、個人事業主の場合も同様です。年間の収支に問題があれば、審査に大きく影響します。
法人と個人事業主どっちが有利?
公務員や会社員と比べると、会社経営者や個人事業主の方が住宅ローンの審査が厳しいのは間違いありません。会社経営者や個人事業主は、所得が増えるチャンスが多い反面、業績が悪化して所得が大幅に減ることも考えられるため、どうしてもローンの審査は厳しくなってしまうのです。
では、法人の経営者と個人事業主とでは、住宅ローを組むうえでどちらが有利なのでしょうか?
法人経営者の場合
法人の経営者は、会社員や公務員と同じ給与所得者です。したがって、会社の業績が赤字であっても、給料を貰うことができます。例えば、会社に潤沢なキャッシュがあれば、業績が悪化したとしても昨年と同じ金額の役員報酬を支払うことも可能です。
つまり、会社の業績が悪くても一定額以上の安定した収入を得ることが可能なため、住宅ローンが借りやすくなります。
個人事業主の場合
個人事業主には法人経営者のように給料という概念がないため、赤字決算になれば所得がゼロだと判断されてしまいます。
したがって、業績が順調だった時代に積み上げたキャッシュが潤沢にあり、赤字決算でも生活にまったく困らなかったとしても、赤字であれば住宅ローンを組むことはほとんど無理でしょう。
こうした点から考えた場合、法人と個人事業主と比較すると、法人経営者の方が住宅ローンを組むうえでは有利であるといえるでしょう。
フラット35と変動金利で審査は変わる?
最後に、住宅ローンによって審査が変わるかどうかについて解説します。ここでは、代表的な以下の2種類の住宅ローンについてお話しします。
- フラット35
- 変動金利
フラット35とは
フラット35とは、政府系金融機関である住宅金融支援機構が全国300以上の民間金融機関と提携して実施している全期間固定金利型の住宅ローンのことです。住宅の購入や新築、改築はもちろんのこと、他の金融機関で借りた住宅ローンの借り換えや一部リフォーム、増改築などにも活用することができます。
返済期間は最短15年、最長で35年まで設定でき、保証人不要で最高8,000万円までの融資を団体信用生命保険の加入なしで受けられます。
フラット35の審査の特徴
フラット35は民間金融機関の住宅ローンと比べると、審査が緩やかな特徴があります。景気の変動に関係なく返済期間中に金利が変わることがないため、返済中に物価の上昇が続くようであれば、変動金利よりも有利になります。
また、返済金額が固定されているため、計画的に返済したい方などにとっては非常に使い勝手の良い住宅ローンであるといえます。
変動金利とは
変動金利とは、返済期間中に適用される金利が変動するタイプの住宅ローンのことです。多くの場合、半年ごとに金利の見直しが行われます。同じ時期に申し込むのであれば、フラット35と比べて金利が低い特徴がありますが、返済期間中に金利が上昇して行けば、変動金利の方が高くなる場合も考えられます。
なお、変動金利による住宅ローンは、銀行をはじめとする多くの民間金融機関などでさまざまな商品が提供されています。
変動金利の審査の特徴
変動金利は、フラット35と比べると、審査が厳しい特徴があります。金利を比べるとフラット35よりも安いため、変動金利を選択する人も多いですが、その分審査は厳しめといえます。
おすすめはどちら?
起業してまだ数年しか経っていない場合や、あまり頭金を用意できないような場合であれば、フラット35を選択した方が良いでしょう。変動金利と比べると審査は緩いといわれているため、会社経営者や個人事業主であっても、審査は通りやすいといえます。
ただし、フラット35は、住宅金融支援機構が定める基準をクリアした住宅でなければ利用できません。したがって、あらかじめ基準を満たしているかどうかを確認しておかなければなりません。
一方、起業してからそれなりの実績もあり、厳しめの審査を通過できそうであれば、変動金利を選択しても良いでしょう。途中で大幅な金利上昇さえなければ、返済金額の総額を減らすことができます。
ただし、上述のように金利が変動した場合はかえって返済額が増えるリスクもあるため、このあたりには十分に注意しておかなければなりません。
まとめ
起業すると住宅ローンが借りられないという噂話がありますが、決してそのようなことはありません。起業したばかりであれば住宅ローンが借りにくいのは本当ですが、それでも業績を順調に伸ばして行けば、やがて問題なく借りられるようになります。
ただし、住宅ローンによって審査が通りやすいものと通りにくいものがあり、金利もそれぞれ違うため、どれがご自身にとって最適なのかを知りたい方は税理士やFPなどの専門家に相談してから決めた方が良いでしょう。