お金の知識

決算を自分でやるとどうなる?失敗しやすいポイントとリスク

2026.6.30

起業したばかりの時期は、少しでも出費を抑えるために「決算を自分でやれないだろうか」と考える経営者の方も少なくありません。ですが、実際には多くの経営者が、税理士などの専門家に決算を依頼しています。

では、決算を自分でやるとどうなるのでしょうか。本記事では、経営者がご自身で決算を行った場合に生じやすい失敗やリスクについて解説します。

決算を自分でやることはできる?まず知っておきたいこと

はじめに、そもそも自社の決算を、経営者が自分で行えるのかについて解説します。

決算

自分でやることは可能だが正しくやるには一定の知識が必要

経営者であっても、自社の決算を自分で行うことは可能です。たとえば個人事業主の場合、freeeなどの会計ソフトを活用すれば、日々の取引を入力しながら申告書を作成することができます。

ただし、「入力できること」と「正しく処理できること」は別です。会計ソフトは入力された内容をもとに集計や計算を行いますが、その処理方法が税務や会計のルールに沿っているかどうかまでは判断できません。

そのため、入力内容や処理方法に誤りがあれば、そのまま誤った決算書や申告書が作成される可能性があります。したがって、決算を自分で行うことはできますが、正しく行うためには税務や会計に関する一定の知識が必要となります。

決算は想像以上に時間がかかる

そもそも、多くの経営者が、税理士などの専門家に決算を依頼するのはなぜでしょうか?それは、単に専門知識が不足しているからではなく、決算を行うには想像以上に時間がかかるためです。特に、初めての決算であればなおさらです。

たとえば、会計ソフトの預貯金の残高と通帳の残高が合わなければ、1年分のすべての取引を見直さなければなりません。場合によっては、通帳だけでなく、クレジットカードや領収証などのすべてを一つずつ照合する必要があります。

また、事業用とプライベートの支出が混ざっている場合、その切り分けにも時間がかかります。しかも、こうした作業を経営者が本業の合間にやるとなると大変です。最悪の場合、申告期限に間に合わなくなるか、本業をストップして決算を行うことになりかねません。

このように、専門知識の有無とは別に、決算を自分で行うとなると想像以上に時間が必要となる場合があります。

決算を自分でやる際に失敗しやすいポイント

決算を自分でやる場合、多くの人が共通して失敗するポイントがいくつかあります。その中でも特に多いのが、以下の2つです。

決算の失敗

記録の後回しが積み重なり決算時に大きな負担になる

最も多い失敗は、日々の取引の記録を後回しにしてしまうことです。基本的には本業が最優先ですから、忙しければ「あとでまとめて入力しよう」と考えがちです。

ですが、仕事が忙しいなどの理由から数ヶ月間も放置してしまうと、取引の内容を正確に思い出すのが難しくなってしまいます。特に、現金払いの交通費や細かい経費の支出は、記憶が曖昧になりがちです。

その結果、計上漏れや重複計上が生じてしまうと、これらをすべて決算時に修正しなければなりません。こうした修正作業が、想像以上の手間となったり、間違った内容で申告をしてしまったりすることがあります。

会計ソフトの設定ミス

もう一つの失敗しやすいポイントは、初期設定のミスです。多くの会社では、会計ソフトを使って日々の経理処理を行っていますが、会計ソフトを使うためには、まず初期設定をしなければなりません。

その際、消費税の区分や勘定科目の設定などを間違えてしまったらどうなるでしょうか。その後に入力する仕訳の大半に影響が及んでしまいます。しかも、こうした初期設定ミスは、日々の経理処理ではなかなか気づくことはできません。こうした設定ミスが原因となり、最終的な決算そのものも間違えて申告してしまう場合があります。

決算でミスが起きた場合の主なリスク

経営者が決算を自分でやると、専門家に依頼する場合と比べ、どうしてもミスが起きやすくなります。その結果生じるリスクは、主に以下の2つです。

決算でミス

ペナルティの支払いや修正申告が必要になる

決算内容に誤りがあると、後に税務調査が行われ、修正申告が必要になることがあります。その結果、不足分の税金を支払うことになったり、延滞税や加算税が発生したりすることがあります。それだけでなく、修正申告を行うことになれば、追加で書類も作成しなければなりません。

決算でミスをしてしまうと、本来支払う必要のないペナルティを負担し、修正申告書を作成する手間が生じるリスクがあります。もちろん、税務調査を受けるのは、経営者にとって、時間的にも精神的にも大きな負担となります。

数字のズレが経営判断そのものを誤らせる

決算書は、単に税金を計算するためだけのものではありません。正しい経営判断を下すための土台として、大きな役割を担っています。ですが、この決算の数字が間違っていたらどうなるでしょうか。

例えば、利益が実際より多くなっていれば、誤って余裕があると判断し、設備投資や支出を増やしてしまう恐れがあります。反対に、利益が少なくなっていれば、積極的な支出は控えるかもしれません。

このように、誤った決算はそのまま経営判断のズレにつながり、資金繰りや成長戦略に影響を与える可能性があります。特に創業初期は、この影響が事業全体に直結しやすくなります。

自分で決算を行うか判断するための目安

これまでの話を踏まえた上で、最後に自分で決算を行うかどうかを判断する際の目安について解説します。

決算を自分で行うのに向いているケース

決算を自分で行うのに向いているケースとは、取引件数がそれほど多くなく、日頃から会計ソフトで入力処理をしっかりと行っている場合です。売上や経費の内容が比較的シンプルで、現金取引や複雑な契約などが少なければ、自分だけでも対応しやすくなります。

また、会計や税務について学ぶことに抵抗がなく、不明な点があれば積極的に自分で調べたり税務署などに問い合わせられたりできる人も、自力で決算が行いやすいと言えるでしょう。

税理士への相談を検討した方がよいケース

決算を自分で行わず、税理士に相談した方がよいケースとは、法人の場合です。個人と法人とでは、決算の難易度が大きく異なります。法人の場合、決算書や法人税の申告書以外にも、勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書などを作成しなければなりません。場合によっては複数のソフトを使って作成することになるため、日々の取引がどれだけシンプルだったとしても、自分ですべてをやるのは容易ではありません。

また、個人・法人を問わず、取引内容が複雑だったり件数が多かったりする場合も、決算を自分でやるのは控えたほうがよいでしょう。上述のようにミスが起こりやすくなるため、後々のことを考えると、やはり専門家に任せた方が安心です。

それ以外にも、決算期にまとまった時間を取りにくいようであれば、思い切って決算は税理士に任せ、本業に時間を割くことをおすすめします。

まとめ

決算は自分で行うこともできますが、実際には一定以上の知識や時間が必要になります。また、同じような事業規模であっても、個人と法人とでは決算業務の難易度が大きく変わります。

そのため、自社の事業規模や取引内容、決算にかけられる時間などを踏まえた上で、自分で対応するかどうかを判断するようにしましょう。もし決算業務に難しさや不安を感じる場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。そうすれば、安心して本業に集中することができるでしょう。