決算月とは?会社設立前に知っておきたい決め方と注意点
2026.10.21
会社を設立するとき、「決算月はいつにすればいいのだろう」と悩む方は多いものです。周りの会社に合わせて、なんとなく3月や12月にしてしまおうかと考える方もいるかもしれません。
ですが、決算月は本当に自由に決めてよいのでしょうか?この記事では、決算月の基本から後悔しない決め方、設立後に変更できるのかといった点まで、わかりやすく解説します。
2026.10.21
会社を設立するとき、「決算月はいつにすればいいのだろう」と悩む方は多いものです。周りの会社に合わせて、なんとなく3月や12月にしてしまおうかと考える方もいるかもしれません。
ですが、決算月は本当に自由に決めてよいのでしょうか?この記事では、決算月の基本から後悔しない決め方、設立後に変更できるのかといった点まで、わかりやすく解説します。
まずは、決算月という言葉の意味を整理しましょう。似た言葉との違いや、法人と個人事業主の違いを押さえておくと、このあとの内容が理解しやすくなります。
決算月とは、事業年度の最終月のことです。事業年度とは、会社が収入や支出をまとめて利益を計算する期間のことで、法人では1年以内で定めます。たとえば、4月1日から翌年3月31日までを事業年度とした場合、最終月である3月が決算月です。
決算日は、事業年度の最終日を指します。多くの会社では月末に設定されるため、この例では3月31日が決算日となります。決算月は「月」、決算日は「日」を指す言葉と覚えておくとよいでしょう。
法人は、1年以内であれば事業年度を自由に決められます。会社設立時に定款で事業年度を定めるため、その最終月が決算月になります。そのため、業種や事業の流れに合わせて、設立時に好きな月を選ぶことが可能です。
一方、個人事業主の事業年度は、所得税法で1月1日から12月31日までと定められています。そのため、決算月は12月で固定され、自分で変えることはできません。
決算月に絶対の正解はありませんが、考えておきたい視点はいくつかあります。ここでは、決め方のポイントを3つご紹介します。
決算月の前後は、棚卸や請求書の整理、申告の準備などが重なり、通常より事務作業が増えます。そこに本業の繁忙期が重なると、対応が追いつかず、ミスや提出の遅れにつながりかねません。
たとえば、年末商戦で忙しい小売業が12月決算にすると、商品の販売と決算作業を同時に進めることになり、負担が大きくなります。反対に、比較的落ち着いている時期に決算を迎えられれば、在庫の確認や書類の整理にも余裕を持って取り組めます。
まずは自社の1年の流れを振り返り、業務量が少なくなる月を洗い出してみましょう。その月を中心に候補を考えると、決算作業の負担を減らしやすくなります。
法人税などの納税期限は、原則として決算日の翌日から2か月以内です。したがって、決算月を決めることは、納税する月を決めることでもあります。
賞与の支払い、大きな仕入、借入金の返済など、まとまった支出がある月と納税月が重なると、資金繰りが苦しくなりがちです。たとえば、毎年12月に賞与を支払う会社が10月決算にすると、納税月と賞与の月が重なり、手元の資金が不足するおそれがあります。
そのため、1年のうち大きなお金が出ていく時期を書き出し、納税月とずれるように逆算して決算月を選ぶとよいでしょう。
資本金1,000万円未満で会社を設立した場合、原則として設立第1期と第2期は消費税の納税義務が免除されます。ただし、売上高や給与等の支払額、会社の設立形態などによっては、免税の対象外となる場合があります。
この免税期間を長くするには、第1期をできるだけ長くとることがポイントです。たとえば4月15日に設立して決算月を3月にすれば、第1期は約11か月半となり、第2期も免税事業者となる要件を満たせば、合計で約23か月半の免税期間を確保できます。
ただし、インボイスの適格請求書発行事業者に登録すると、登録した時点から課税事業者となるため、この免税は受けられません。そのため、設立時に登録すると、第1期から納税が必要です。
一般的に、取引先に課税事業者が多い場合は登録を求められやすく、顧客の大半が個人なら、登録せずに免税を活かす選択もあります。また、インボイスの登録をしていなくても、設立1期目の上半期の売上や給与の額によっては、2期目から課税される場合もあります。
このように、消費税に関する判断は状況ごとに異なるため、心配な方は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
決算月は、会社の1年のリズムを左右する大切な要素です。決めるときに見落としやすい注意点を、2つご紹介します。
設立月を決算月にすると、設立から数日〜1か月程度で最初の決算を迎えることがあります。たとえば4月28日に設立して決算月を4月にすると、わずか数日で第1期が終わってしまいます。
設立直後は、銀行口座の開設や取引先への対応などで慌ただしく、決算や申告の準備まで手が回らないことも多いものです。準備が間に合わず申告が漏れて無申告になると、加算税などのペナルティを受ける可能性もあります。
そのため、ある程度の期間が確保できる月を決算月に選び、落ち着いて最初の決算を迎えられるようにしましょう。
12月〜3月は、年末調整や法定調書の作成、個人の確定申告などが重なり、税理士業界全体が忙しくなりやすい時期です。また、3月決算の会社の申告期限が集中する5月も、税理士事務所によっては繁忙期となります。この時期に決算を迎えると、相談の時間が取りにくくなったり、じっくりとした節税提案を受けにくくなったりする可能性があります。
もちろん、事務所によって対応は異なりますし、早めに相談すれば問題ないケースもあります。ただ、特に決算月にこだわりがなければ、こうした時期を避けるのもひとつの選択肢です。
設立時に決めた決算月が、事業の変化によって合わなくなることもあります。ここでは、決算月を変更する手続きの流れと、変更時の注意点を見ていきましょう。
決算月を変更するには、まず株主総会を開き、特別決議で定款の事業年度に関する定めを変更します。そのうえで、決議の内容を議事録にまとめます。これらが終わったら、税務署、都道府県税事務所、市区町村へ異動届出書を提出します。届出の期限や提出書類は自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
また、変更後の決算月に合わせて、会計処理や申告のスケジュールも見直さなければなりません。手続きが遅れると、申告や納税の時期にも影響するため、変更を決めたら早めに準備を進めておきましょう。
決算月を変更すると、変更の前後で期間の短い事業年度が生じることがあります。たとえば3月決算から9月決算へ変更する場合、変更後の最初の事業年度は6か月間です。短い期間でも決算と申告が必要になるため、事務作業の負担が増えます。
また、納税や申告の時期が前倒しになり、資金繰りに影響する可能性もあります。さらに、取引先や銀行に提出する決算書の時期も変わるため、事前に説明が必要になる場合もあります。
このように、決算月の変更はさまざまな影響を及ぼす可能性があるため、事前に税理士などの専門家に相談したうえで、慎重に判断しましょう。
決算月は、法人であれば自由に決められます。その際は、自社の繁忙期、納税時期の資金繰り、消費税の免税期間などを総合的に考慮して決めることが大切です。
ただし、決算月はあとから変更することもできるため、設立時点で完璧を求めすぎる必要はありません。迷ったときは、設立前に税理士などの専門家に相談しながら、自社に合った決算月を見つけるとよいでしょう。
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